【2023年05月17日】甘夏ソーダと迷子くん

甘夏ソーダの写真 むじゅんについて

2023年05月17日(水)

今日は薬を買いに外に出かけた。

薬局へはそう遠いわけではないのだけれど、億劫で中々足が向かない。

ここ数日で、一気に日差しが殺人的になった気がする。

ほんとに、あれ、こんなに暑かったけな。

昼間は日差しが強くて暑いし、腹痛で寝ていたから、薬局へ出かけたのは夕方。

夕日の色はしているのに、その光は逞しく、強くて、熱い。

この間まで梅だ桜だって言ってた気分なんだけどな。

風が吹くと少し心地よくて、影法師の髪の毛が揺れる。

汗をかきながらやっとこさ薬局に到着すると、いつもは混んでいる薬局はわたし以外に客がいなくて、

なぜか薬局のスタッフさんもいつもの半分くらい。

夕日がブラインド越しに差し込む無機質な薬局内では、

テレビのニュース番組が「今日一番暑かったのは群馬県の……」なんて言っている音声だけが響いて、

時間が止まってしまったようだ。

待ち時間は、そんなに長かったわけではないのだろうが、

“待っていないといけない”という制限があることで、永遠にも感じられる。

持ってきたハーブの本のページを繰るのも楽しいのだけれど、

段々待つことへの苦痛が大きくなってくる──

と思ってすぐくらいに、名前を呼ばれた。

ここの薬局の人たちは皆とても声が小さい。

今日担当してくださった薬剤師さんも、マイクを通してわたしと会話しているのに、

あまりに聞こえなくて、わたしは金額を勘違いしてしまった。

慌ててたくさんの1円玉含む小銭で支払ってしまったので、「すみません」と言うけれど、

全ては無表情と沈黙の中処理された。

やっと終わった。

と、薬局から出て大きく息を吸う。

やっぱり暑い。

夏がこのくらいだったら耐えられるけれど、これ以上暑くなってほしくはないな。

暑いのと強い日差しは苦手なんです。

信号を渡る。

ふと目を止めると、街路樹の花水木の枝に、何か掛かっているのが目に入った。

誰かが吊り下げたキーホルダーの写真

おお。

きみ、お家に帰れるといいね。

また帰路につく。

家に入ると、安堵すると同時に、歩いてきた自分の体がすごく熱いことに気がついた。

ふと思いついたことがあって、実行に移す。

祖父母の家のある島の畑で採れた甘夏のジャムをグラスに入れて、ソーダ水で満たす。

しゅわぁっと小気味良い音が響く。

甘夏ソーダの写真

わたしはこれだけでも幸せな心地であったが、

氷を入れて、かき混ぜてから飲む時の喉越しの爽やかさにとても感動した。

夏は苦手だけれど、こういう瞬間は嫌いじゃないです。

今日も、生きています。

むじゅん

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