2023年03月07日(火)
以前ブログで紹介したこともある離島の祖父母のおうち。
このおうちには二つの畑があって、祖母が亡くなってからはずっと何も植えられることもなく、
草が繁茂したり、時折わたしたちによって草を刈り取られたりといったことがここ数年続いていた。
しかし、今回わたしたちはとあることを思い立った。
今も元気な母方の祖母が、「島の畑にじゃがいもでも植えてみたらどうだろう」と提案してくれたのだ。
最初は「いやいや、たまにしか島に帰れないのに、じゃがいもなんて作れないよ」
という感じで本気で考えていないわたしだったが、母が「作ってみる?」と聞いてくれて、
考えが変わった。
じゃがいも。
わたしが初めて植えて収穫した野菜。
とても強く、歴史上たくさんの人々を救ってくれた野菜。
「じゃがいもなら……」
と信じる気持ちになった。
母も「ダメもとでやってみよう!」と明るく提案してくれたので、気が楽だった。
そう、実のところ、わたしはずっと前から島の畑をどうにか活かせないかと考えていたのである。
島の祖母が生きていた時、祖母は本当に野菜作りが上手で、
島の環境ですくすく育った大きくて美味しい野菜や果物たちをわたしたちによく送ってくれていた。
美しい畑。
たくさんの野菜、たくさんの果樹の生きる……。
わたしがとある冬に亡くなった祖母の死を本当の意味で実感したのは、夏、いつも祖母が送ってくれる大きな大きな甘い手作りの西瓜をもう食べることができないと気づいた時だった。
どうしようもなく、悲しい気持ちになったことを覚えている。
そして、深い感謝の念が湧き上がったことも。
だからこそ、おばあちゃんが手塩にかけて育ててきた畑をどうしようもできていない現状は、わたしにとって歯がゆいものだった。
何年も畑として機能していなかった土。場所。
わたしたちは農業に関してまだまだ初心者だから、迷っている。
迷いながらも、畝を作ることにした。
幸い、農具はおばあちゃんのが遺されている。
ありがたく使わせてもらう。
しばらく、冬より強くなった3月の日差しに照らされながら、母と作業をする。
とても心配だった。
何年も畑として使われてこなかったこの土が、本当に畑になるのだろうか。
わたしたちのちっぽけな力で。
しばらく後……。
おおおお!!!!
これはしっかり畑なのではないですか!?!?
まさかここまで畑然とした感じにできると思っていなくて、感動を覚えた。
うふふぅ。
じゃがちゃんたちのベッド、完成だ。
切って乾かしておいた種芋を溝に置いて、少し肥料も置いて、土を被せる。
ちなみに今回育てるじゃがいもの品種はキタアカリだ。
初心者にも育てやすく、料理にも色々使いやすい品種らしい。
雑草生えすぎ防止と乾燥しすぎ防止のため、枯れ草で土をカバーしておく。
一応、発芽の邪魔にならないよう、じゃがいもが植っている真上の部分は避けて草を置いていく。
わぁ!ほんとにじゃがいも植えたんだ!
おばあちゃん、お空から見ているかな。
わたしたちは、再びこの畑に命を宿らせました。
わたしたちは頻繁に畑を見に行くことは難しいから、じゃがちゃんたちが育っていく上で必要なものの多くを島の自然にお任せします。
島の風、空気、土、太陽、雨、鳥たち、虫たち、微生物たち、静かで豊かな月の光……。
島の多くの存在が、じゃがちゃんの育ての親となってくれるでしょう。
じゃがちゃんが健やかに育つことを祈って。
むじゅん
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