【畑仕事】2022年3月14日(月)

耕運機の写真 日々の野菜
畑を耕す写真
耕運機を操る筆者

今年最初の畑仕事は、畑を起こすことから始まった。

3月も半ば。

長い冬が終わって、様々な命の息吹を感じる季節がやってきた。

まだ肌寒い日は多いけれど、この日はぽかぽかとした陽気に恵まれた。

春から育てる作物のため、わたしたちは今日土を耕して準備をする。

作物を採り終わった土には黒いマルチシートがかけられていて、まるで冬眠しているようだった。

そっと掛け布団(黒い)をはがして、おはようをする。

去年わたしたちがじゃがいもを育てたところとか、おばあちゃんが里芋を育てていたところは土が柔らかい。

でも、しばらく使っていなかったところは流石に土がカチカチだった。

去年は、じゃがいものためのスペースを、鍬で汗水たらして耕した。

しかし、今年はその4倍弱のスペースを耕さなければならない。

こ、腰が壊れるッ…!

と思いそうになるが、今回は強力な助っ人がいる。

そう。耕運機だ。

耕運機の写真

耕運機、名前をポチという。

といってもわたしが名付けたのではない。

もともとそういう商品名なのだ!

(名前のせいでとても愛着が湧くので、この商品名にした人はナイスだと思う)

この耕運機はおばあちゃんが所有しているもので、最近はおばあちゃんがあまり広い面積に作付けしていなかったので、しばらく出番がなかったようだ。

おばあちゃんが長屋から耕運機を出してくれたのはいいのだけれど、しょっぱなから躓くことになる。

なんと、エンジンがつかないのだ。

こういう機械は、ひもみたいなものを引っ張ってエンジンをつけるのだが、引っ張っても引っ張ってもエンジンがつかなかったのだ。

「おかしいなぁ。エンジンを入れるためのつまみは回しているし、燃料も入っているのに…」

わたしと母でいくらひもを引っ張っても、うんともすんとも言わない。

耕運機の所有者であるおばあちゃんも、原因がわからない。

半ばあきらめムードが漂い、おばあちゃんが「メーカーの人を呼ぼうか」と言い出した時、

わたしはスマホを取り出してエンジンのつけ方を検索した

するとYouTubeで、機種は違うものの、耕運機のエンジンのつけ方を解説した動画を発見した。

「機種が違っても、仕組みに大差ないはず!」

と思い、動画を観ていると、どうやら燃料コックが閉まっていることが原因なのではないかとわかった。

燃料コックが閉まっていたことによって、いくらひもを引いても、燃料がエンジンに供給されなかったのだ。

急いで燃料コックを探すと、それらしきつまみがあった。

期待しながらそのコックを開いてエンジンのひもを引くと…

ブロロロロロロロロ!!!!!!!!!

と元気よくエンジンが点火した!!

「やったあああああ!!」

と、みなで喜び合った。

普段から耕運機を使っている人や、機械に詳しい人からしたら呆れるような感動かもしれないが、

本当に、うれしかったのだ。

わたしは、文明の利器を利用して解決策を見つけただけだったが、

その場にいた祖母や母、伯母から褒められて、胸のあたりがあったかくなった

さて、ようやくエンジンがついたわけだが、本番はこれからである。

まずは耕運機を畑まで押していかなければならない

文字で見ると簡単そうだが、これが案外大変なのだ。

まず、耕運機の操作と動きに慣れる必要がある。

操作、といっても、何も自動車のように複雑なわけではない(筆者は現在自動車免許の教習中!ムズい!!)。

操作する部分は、

エンジン部分(エンジンをどのくらい強くするか)、

ギア部分(移動モード、後進モード、ニュートラルモード、耕すモード、逆向きに耕すモード)、

アクセルといった感じである。

エンジン部分とギア部分は必要な時に変えればいいだけなので、基本的には放置でよいのだが、アクセルをかけて動くのには少しコツがいる。

耕運機が動くためのレバーをアクセルと言ったが、アクセルと言っても、自動車のように動く速さを微調整できるわけではない。

耕運機を押すための持ち手のところに重なるようについていて、持ち手と一緒に握りこむことで耕運機を動かすことができる(伝わったかな…)。

耕運機を押す写真

このレバー、少し握りこんだだけで耕運機が急に動き出すので、体が持っていかれそうになる。

ちなみに、持つ角度を調整しないと、土を耕すための刃がもれなく地面とぶつかるので、

少し持ち上げるようにして持ちましょう

(わたしはそのことを知らなくて、刃が地面にぶつかってガギギギギ!!みたいな音が鳴りました)。

発進させるときは、体が持っていかれるくらい早く感じる耕運機のスピードだけれど、動き出してみたら案外ノロノロ動く。

まるで亀の歩みだ。

耕運機に合わせてわたしたちも歩くから、畑に行くためにいつもの3倍は時間がかかった気がする。

エンジンをふかすことで少しスピードを上げることもできるが、あまり早くすると、制御が効かなくなるのでもどかしいところ。

耕運機の振動で手がおかしくなりそうと思った頃、やっと畑に到着した。

みんなで畑を覆っているマルチシートをはがして、耕運機をかける準備をする。

マルチシートが耕運機に巻き込まれたら困るし、マルチシートは再利用するので、丁寧に避けておく。

さて、いよいよ畑を耕す時だ!

まずは祖母にお手本を見せてもらう。

自動車の運転免許はもちろん、機械に詳しくない祖母だが、意外なくらい上手に耕運機を扱う。

ギアを切り替えたり小回りするのもお手の物だ。

耕運機が畑に入ると…

おおおお!!!!

あっという間に土が耕されていく!!!

気持ちいいくらいあっという間だ。

鍬で耕す時間の比ではない。

なかなか感動体験だ。

遂に耕運機がわたしにバトンタッチされる。

どきどきしながら畑に踏み出す。

ドドドドドド!!!

土が耕される振動に若干ビビりながら、真っすぐを意識して耕運機を押していく。

しかし、これが案外難しい。

畑は地面が土故に不安定で、少し傾斜がついているだけでも、耕運機が自身の重みで左右に逸れていってしまうのだ。

耕運機は重いし、アクセルを押している間はスルスルと前に進み続けるから、結構焦る。

祖母が、そういうときはギアを後進にして調整しながらやったらいいよと教えてくれた。

それで幾分か進みやすくなったが、それでも傾斜の低い方に逸れていくので、

逸れる方向と逆方向に体重をかけて軌道修正を試みる

耕運機の写真

途中母と交代しながら四苦八苦して、なんとか全て耕し終えた。

耕された畑は湿った土が表に出て、色が濃い。

水分を多く含んだ土は薫り高く、生きている感じがする

最後に、耕された土の中で固まってしまっているものを鍬で砕き、均しておく。

この作業が結構腰にくる。

でも、終わった時の達成感はすごかった。

わたしと祖母と母で顔を見合わせ、終わったねとアイコンタクトをしたとき、充実した心の動きがあった

作業が終わったら、今度は帰らなければならない。

行きと同じくらいの時間をかけて、ノロノロと祖母宅に帰還した。

おつかれさまの気持ちを込めて、母と一緒にポチを水洗いする。

なんか、お散歩から帰ってきた犬みたいで微笑ましいな。

それが終わると、わたしたちも休むためにお茶の時間にする。

その前に、冷水で顔をわしゃわしゃと洗う心地よさ

水の清める力は偉大だと思う。

わたしは、手作業で畑を耕す経験と、機械で畑を耕す経験をした。

もちろん、どちらも小さな畑を耕しただけだけれど。

どちらにもよさと欠点があると思った。

手作業は単純に大変で疲れる(笑)

でも、小回りがきくし、人力だけでできるので環境とお財布にも優しい。

何より、自らの手で農業をしているという実感、そして作業を終えた時の達成感はすごい。

耕運機は、初期投資がかかるし、ガソリン代やメンテナンスといったランニングコストがかかる。

ガソリンを燃やすのだから、環境にも悪い。

でも、圧倒的に楽だ。

この世の中にはいろんな立場の人がいると思う。

大きな畑を耕す人、小さな畑を耕す人。

商業として農業をやっている人、家庭で消費するために小規模の農業をやっている人。

なるべく農作業を楽に済ませたい人、農業を自分の手でやっているという実感が欲しい人。

それぞれの立場に、それぞれの農業観があるのだろう。

わたしは、まだたった2回畑を耕した経験しかない人間だけれど、こう思った。

手作業と機械、どちらかだけと決めずにうまく使い分けたいな、と。

わたしは、基本的には環境汚染はしたくない。

お金もない。

だから、なるべく手作業で土を耕す方が理にかなっている。

でも、同時に体が貧弱であるというのもわたしの特性である。

だから、どうしても人力ではキツイというときだけ、ちょっぴり機械の力を借りたいなと思った。

わたしの作っている畑の規模ではそれが可能だ。

自身の力でやってみる。

でも、たまには文明の利器をありがたく使わせてもらう。

そのくらいがわたしにはバランスいいみたいだ。

畑の土の写真

ポチが耕した土には何を植えようかな。

じゃがいもは確定。

あとは、かぼちゃとか…。

いつか大好きなすいかを植えてみたいな。

難しいみたいだけれど。

むじゅん

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