2022年4月19日(火)
わたしたち家族は、祖父母が住んでいた家に帰ってきた。
数日間滞在する予定だ。
その間、家をきれいにして、ご先祖さまに挨拶をして、ゆっくりする。
祖父母の家は離島にあって、俗世から隔絶されたような、独特の空気感がある。

海と山、密集した家々。
車はほとんど通らないから、信号も横断歩道もない。

美しい島。

春の霞んだ空に陽光が乱反射して、夢幻的な雰囲気を纏っている。
わたしたちは、午前中に島についてすぐ、祖父母の家の掃除を開始した。
家中の全ての窓を全開にし、風を通す。
これだけでも、家が息を吹き返した感じがする。
よく、古い家には時折風を通さなければならぬというが、本当にその通りだと思う。
誰も風を通さなくなった家は、呼吸することをやめてしまう。
そのうち、じわじわと朽ち、死体のように瓦解していく。
不思議なものだ。
掃除機をかけて、家具を拭き上げる。
長い廊下の埃を掃き清め、こちらも拭き上げる。
庭の植物の手入れをし、草を抜く。
ここまで一気に頑張って掃除をし、お腹が空いてお昼ご飯を食べたら、少しお昼寝をして休む。
大変だけど、この流れを体験すると、このお家に帰ってきたなと思う。
そして、家が息を吹き返して喜んでいる気がする。
さて、お昼過ぎ。
昼寝を終えたわたしたちは、ご先祖さまのお墓参りに出かける。

この島のお墓は島の端っこにあって、非常に見事なオーシャンビューだ。
お墓に行く道すがら、きれいな風景や植物たちに出会う。

ちょっとした山の斜面ですら、たくさんの若い緑に溢れている。

新芽がつやつやと日光を反射していて、うっとりとする。

潮にも負けず、浜大根の花が咲き誇っている。
菜の花と似ているが、色合いのせいだろうか。
少し涼やかに感じる。

植物たちは、どうしてこんなにも複雑な色彩を作れるのだろう。
本当に、何気ない風景でも、ハッとさせられる何かがある。

木の陰に、可愛らしい紫色の花が咲いている。
なんという花だろうか。

葉の裏が白っぽくて、コントラストが美しい木。
なんだかちょっとお洒落かも。

ふわふわの草。
ただそれだけ。
でも、可愛くて心惹かれるのです。

これはカラスノエンドウかな。
写真じゃ伝わり切らないのが悔しいけれど、紫の色が、赤みと青み、すごく複雑な色をしていて、
しかもそれが西日の陰影のせいでハッとするほど色鮮やかに見える。
思わず足が止まる。

かわいい蘇鉄三兄弟。
これほんとかわいいな。

暖かい春の陽光に、わたしは閉じ切っていた羽を開いて晒す。
春の島は今日も豊かです。
いつまでも豊かでありますように。
むじゅん
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