雪の降らない我が街で、初雪の重さを睫毛に感じる時が好きだ。
透明な日差しや冷たい風にさらされて、色が退いた店先の暖簾が好きだ。
図書館の帰り道、背中に感じる本の重みが好きだ。
なのに、どうして。
ふとした瞬間、わたしの首筋に鋭い刃が当てられたような、ひやりとした心地がするのです。
心の中にぴゅうっと冷たい隙間風が吹いて、わたしはいても立ってもいられず、自分を防御するために丸まるのです。
ダンゴムシのように。
アルマジロのように。
わたしは、とても、目を開けていられないのです。
むじゅん
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