今読んでいる本
『ゼロ・ウェイスト・ホーム ゴミを出さないシンプルな暮らし』
ベア・ジョンソン著,服部雄一郎訳
2016年 アノニマ・スタジオ
著者の、数えきれないほどの実験と失敗、そこから生まれた工夫が、たっぷり盛り込まれた一冊。
わたしはこの本の中の方法を全て取り入れられるわけではないし、著者自身、ゴミを完全にゼロにすることは不可能だったかもしれない。
けれど、まずはなんでもやってみる、失敗の中から学び、自分が無理なく続けていける方法を見つけ出す著者の姿勢こそ、真に学ぶべきところだなと思う。
そして、わたしが素晴らしいと思うのは、自らの軌跡を惜しげも無く公開してくれていることだ。
失敗って、できれば人に知られたくないものかもしれないけれど、彼女は様々な失敗した体験を紹介してくれている。
それは本書が、失敗を重ねたからこそより良い方法を獲得していくことができた実践の書だからである。
そして、読者が挑戦してみたくなった時、ハードルが下がる効果もあるのではないかなと思う。
この本はとても分厚くて、たくさんのゴミを減らすための工夫が著者の体験談と共に紹介されているのだけれど、1700円(+税)で買うことができる。
正直、「え?この値段でいいの!?」と思った。
この本よりも本の厚みも内容も薄くて高い本は五万とある。
わたしは結構本を古本で買うことが多い人なのだけれど、珍しく新刊の本屋さんでとある本を購入したことがあった。
それはお掃除で起業をするという内容の本で、ちょうど興味のある内容だったから、本屋さんで見かけてそのまま購入に至ったのだ。
でも、はっきり言おう。がっかりした。
確かにその本にも著者の体験が書いてあったけれども、その内容のかなりの部分から、著者の会社の宣伝の意図が感じられたし、勘弁してくれというレベルで誤字脱字が多かった。
多少の誤字脱字はどうしても発生してしまうものだと思うけれど、あまりに多かったものだから、途中からわたしは誤字脱字があるたびにカウントし、ため息をついた。
なんて雑に作られているのだと、怒りが湧いてきた。
よりによってこんな本にわたしは数千円払ったのかと。
お金がないのに。
だからこそ、今回『ゼロ・ウェイスト・ホーム』の著者であるベアさんや、日本で出版しているアノニマ・スタジオさんには感謝したい。
いい本をありがとう、と(アノニマ・スタジオさん、わたしの尊敬している早川ユミさんの本も出されている)。
ベアさんは、この本の冒頭で、本の出版を悩んだと振り返っている。
それは、本を出すということは、どうしても資源を利用し、環境負荷をかけてしまうからである。
電子書籍という手もあった。
でも、ベアさんは、電子書籍を読める環境にない人にも伝えるために、紙の本として出版する方法を選んだ。
この本は、必要がなくなったら図書館に寄付したり、友人に譲ってくださいと、著者自身によって書かれている。
それってすごいことだ。
わたし自身、地元の図書館に収蔵されていたのを借りて、読んでいる。
自らのゴミにまつわる現状を知り、変えたいと思ってこの本を手に取ったが、自身の体験を惜しげも無く伝えたり、本を出すということについても、気づきをもらった気がする。
自分も小さいけれど、本を作る人間だから、この気づきを大事にしていきたい。
むじゅん
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